はじめに
「うちの子には、自由に外を探検させてあげたい」そう思う飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、現代の猫の飼育では、愛猫を様々な危険から守り、より長く健康に暮らしてもらうために『完全室内飼い』が強く推奨されています。
この記事では、なぜ室内飼いが大切なのか、具体的な7つの理由と、お家の中でも猫が楽しく快適に過ごせる環境づくりのアイデアをご紹介します。
昔は猫を外で飼うことも一般的でしたが、都市化が進み、猫の寿命も延びた現代では、愛猫の安全と健康を最優先に考えた『完全室内飼い』が獣医師からも推奨されるなど、新しいスタンダードになりつつあります。
なぜ室内飼いが推奨されるの?外に出すことの7つの危険性
外の世界は、猫にとって魅力的に見えるかもしれませんが、多くの危険が潜んでいます。
1. 交通事故のリスク
最も多く、そして悲しい事故です。一瞬の飛び出しだけでなく、好奇心で道路に出てしまうことも。
特に夕暮れや夜間はドライバーから猫が見えにくく、事故に遭うと命を落とすか、重い障害を負ってしまう可能性が非常に高いです。
2.感染症のリスク
猫エイズ(FIV)や猫白血病(FeLV)といった一度感染すると完治が難しい病気は、主に他の猫との接触(ケンカの咬み傷やグルーミングなど)で感染します。
これらは免疫力を徐々に低下させ、様々な病気を引き起こします。
その他にも、ノミ・マダニが媒介する病気や、お腹の寄生虫も外で感染するリスクが高いです。
3. 他の猫とのケンカ
縄張り意識の強い猫は、他の猫と激しいケンカをすることがあります。怪我はもちろん、上記の感染症をうつされたり、うつしたりする原因にもなります。
4. 迷子・行方不明
好奇心旺盛な猫は、ふとしたことで遠くへ行ってしまい、帰れなくなることがあります。
特に発情期のオス猫や、引っ越したばかりで土地勘のない猫は注意が必要です。
マイクロチップや迷子札も重要ですが、まずは迷子にさせない環境が大切です。
5.中毒の危険
道端に落ちている除草剤が散布された草、自動車から漏れた不凍液(甘い匂いがするため猫が舐めてしまいやすい)、
殺鼠剤の置かれた場所など、猫にとって有毒なものを誤って口にしてしまう可能性があります。
6.虐待や予期せぬ事故
残念ながら、心無い人間による虐待や、工事現場の資材の下敷きになるなど、予期せぬ事故に巻き込まれることもゼロではありません。
7. 近隣トラブル
他人の敷地でのフン尿、爪とぎ、大切に育てている花壇を荒らすなどが原因で、ご近所との関係が悪化することも。
飼い主さんが知らないところで、ご近所に迷惑をかけてしまう可能性があります。
室内飼いのメリット
完全室内飼いには、以下のような大きなメリットがあります。
- 上記の様々な危険から愛猫を確実に守れる。
- 病気やケガのリスクが大幅に減り、結果的に動物病院にかかる費用や心労も軽減される傾向に。
- 猫の平均寿命が延びる傾向にある。
- 飼い主さんとのコミュニケーション時間が増え、信頼関係がより深まる。
- 脱走の心配が減り、飼い主さんの精神的な負担も軽減される。
- 天候に左右されず、常に安全で快適な環境を提供できる。

室内でも猫が満足できる環境づくり
「家の中だけだと退屈しない?」と心配になるかもしれません。しかし、少しの工夫で猫は室内でも十分に楽しく刺激的な毎日を送れます。
上下運動ができる場所を作る
猫は高い場所を好む習性があります。キャットタワーを設置する際は、猫がジャンプしてもぐらつかない安定性の高いものを選びましょう。
複数の猫がいる場合は、それぞれの猫が落ち着ける場所を確保できるよう、複数の高さのステップがあるものがおすすめです。
家具の配置を工夫して、猫が安全に登り降りできるルートを作るのも良いでしょう。
爪とぎを複数設置する
爪とぎは猫にとってマーキングやストレス発散、爪のお手入れに欠かせません。
素材(段ボール、麻縄、カーペット生地、木など)や形状(縦置き、横置き、斜め置き、マットタイプなど)の異なるものを複数用意し、猫のお気に入りを見つけてあげましょう。
壁や家具で爪とぎされるのを防ぐ効果もあります。
おもちゃで遊ぶ時間をしっかり確保する
猫じゃらし、ボール、羽のおもちゃなど、猫の狩猟本能を刺激するおもちゃで一緒に遊ぶ時間を毎日作りましょう。
1日に最低でも10分~15分を数回、集中して遊んであげることで、運動不足解消やストレス発散になります。
レーザーポインターは最後に「捕まえさせて」あげる工夫を。
留守番中も楽しめるように、一人遊び用のおもちゃや知育トイを用意するのも良いでしょう。
窓から外を眺められる場所を作る
窓辺に猫用のベッドやクッションを置き、外の景色を安全に眺められるようにしてあげましょう。
鳥や虫、通行人など、動くものを観察することは猫にとって良い刺激になります。
ただし、必ず網戸がしっかりと閉まっているか、破れていないかを確認し、脱走事故を防ぎましょう。
必要であれば、より強度の高いペット用の網戸に交換したり、窓ストッパーを取り付けたりすることも検討してください。
隠れられる場所を用意する
猫は狭くて暗い場所を好みます。
段ボール箱やキャットハウス、ベッドの下など、安心して隠れられる場所を用意してあげると、猫はリラックスできます。
まとめ
愛猫を様々な危険から守り、安心して長生きしてもらうために、完全室内飼いは非常に有効な手段です。
最初は「可哀想かな」と思うかもしれませんが、猫は順応性が高く、安全で刺激のある室内環境があれば十分に幸せを感じてくれます。
少しの工夫とたくさんの愛情で、お家の中は猫にとって最高の遊び場であり、安らぎの空間になります。
大切な家族である愛猫が、毎日を安全で幸せに過ごせるよう、ぜひ今日からできることを始めてみませんか。

